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あんずママさんの体験


息子は15歳、高校1年生になりました。
まだまだ、おかしな表現、行動をすることもありますが、ABAのおかげで、思春期特有の反発はあるものの、指示に素直に従い、遅くても最後までやり抜くことのできるやさしい子に成長しました。
今春、第一志望の県立高校にも合格することができました。このあたりでは皆が憧れる県下屈指の進学校です。

息子は予後が悪いとされる折れ線型自閉症です。折れ線型自閉症でも、回復する可能性がある事を、同じ立場で頑張っている方々に知っていただきたいと思い、書いています。

2歳前、2語文を話し、ニコニコしていた息子はすべての言葉、行動、表情を失いました。
指示を聞かなくなった息子を、2歳が近づき、いろいろなことができるようになって、自我が芽生えてきたとのんきに見ていました。
でも、何かが違うと感じ、地元の保健センターで相談し、専門の方に見ていただき、「折れ線型自閉症」という言葉を知りました。 その方のお話から、多分間違いないだろうと思った時のショック。息子の将来を思うと、食べる事ができず、それでもと思って口に入れた食べ物は全く味がしません。これが、「砂を噛む思い」なんだと冷静に考えたのを覚えています。そして、ニコニコ順調に育っていた頃を思い返し、面倒をみていた私のせいだと、悔やんでも悔やみ切れない日々を過ごしました。息子の人生を親の私が壊してしまった、そんな思いでした。
その後、大学病院を紹介され、数々の検査を受けた後、折れ線型自閉症の診断が確定しました。

失意のどん底の中、ネットで調べたつみきの会に出会い(皆さんと同様、初めは怪しい団体ではないかと疑いました(笑))、新潟定例会で藤坂代表、松井さん、同学年の子供をもつ2組のご夫婦に声をかけていただきました。声をかけていただき、話を聞いていただけたことで、どんなに救われたことでしょう。それとともに、似た境遇の中で頑張っている方々の様子に勇気をもらい、帰りの車で夫と二人、頑張らなくてはと話したこと、なつかしく思い出されます。

保育園の入園を4月に控えた真冬の2月、つみきBOOKに倣い、息子のオムツを取りました。あらゆることに遅れている息子、園の先生に少しでも迷惑をかけないようにとの思いでした。早生まれの息子は3歳になっておらず、健常の子でもオムツをとるには早いくらいの時期でしたが、つみきBOOKに書いてある通りに行い、何とかオムツを取ることに成功しました。
真冬にオムツを取るなんて、常識ではとても考えられないことですが(笑)、とにかく必死でした。
そして、この成功は、つみきBOOKってすごい!と改めて感じた出来事でもありました。

年少の時は、午後には園から帰宅させ、つみきBOOKで課題をこなしました。片道5時間以上かけ、2ヶ月に1度、藤坂さんにコンサルティングにも来ていただきました。少しでも成長した姿を見ていただけるよう必死でした。私がうまく教えられない課題でも、藤坂さんにかかると魔法のようにできることが何度もありました。藤坂さんのようにはいきませんが、アドバイスをいただきながら、少しずつつみきBOOKを進めました。

全ての言葉をなくした息子。再び「ママ」と言えるようになったものの、「ママの鼻」を教えたら、私に向かって「ママの」と言うようになってしまいました。この時、ああこの子は教えた事をそのまま表現しているだけ(それでいいのですが)中身は何も理解していない・・とまた絶望したこと、今でもはっきり覚えています。
また、赤色、青色、黄色を区別できた事に満足していた頃、園のお友達の「これカラフルだね」という言葉に衝撃を受けました。カラフルなんて言葉、どう教えたらいいんだろう。息子には到底無理。つみきBOOKで必死に教えている事、それは健常の子が苦もなく吸収している事。わかってはいたものの、その現実に愕然としました。
とにかくできない事だらけの息子でしたが、保育園の間は、毎日セラピーを行い、少しずつ前へと進みました。年少年中では、加配をつけてもらっていた息子ですが、小学校入学に備え、年長では加配を外しました。

そして、小学校入学時の検査では、普通級判定が出ました。凹凸はあるものの、IQが100くらいあり、温厚で他人に従うことができたことが幸いしたと思います。
でも、やはりついていけない事が多すぎて、1年生の時はクラスに補助の先生が付き、息子のお世話係(気の利く女の子)もいました。やろうとする気持ちはあるのですが、不器用かつスロー、自分から周りに聞く事も苦手でした。
外遊びも苦手で、休み時間、校庭で駆け回る男の子たちの中に入っていくのは難しく、寂しい思いをたくさんしました。言い返せないので、強いお友達に意地悪なことを言われることもしばしばでしたが、なんとか踏ん張りました。低学年の頃は、進級とともに差が開き、いつか支援級へと言われるのかな?との思いがいつもありましたが、うれしいことに差はだんだん小さくなり、お世話係は消え、自分の事は最後までできるようになりました。

学習面は、小学校教員の私の妹が全面的にフォローしてくれました。セラピーという形ではありませんでしたが、つまずきそうな部分を確認して、一つ一つスモールステップで教え込んでくれました。低学年の頃は半信半疑だったようですが、高学年になると、この子は理解できているよ、と言うようになり、この言葉は私の大きな励みとなりました。

中学に入ると、校庭を駆け回る子はいませんので(笑)だんだん皆の輪に入っていくことができるようになりました。もっぱら、ゲームの話をしていたようです。部活は消去法で美術総合部へ(運動が苦手)。穏やかな子が多く、なんと休日に男女数人で遊びにいくようになりました。家に遊びにきたり、バレンタインデーには義理チョコももらい、びっくりでした。
そこで学習したのか?クラスのおとなしい男子とも映画、カラオケ、買い物を楽しむようになり、その中ではリーダーシップをとっているようでした。自分で遊びに行く計画を立て、お友達を誘っていました。食事やカラオケなど、お金を皆で精算しなければならない場面では、率先して計算しお金を集めて支払っていたようです。誰もやらないから、俺がやらなきゃだめなんだよ!とうれしそうに話していました。
普通っぽく?楽しい中学生活を送ることができたのです。

また、昨年の夏には、2歳から通院していた発達障害の医師からも、「もう大丈夫、来なくていいよ。」とうれしい卒業の話がありました。思わず診察室で泣いてしまった私。息子はその場では何も言いませんでしたが、1階におりるエレベーターの中で「なんで泣くんだよ。びっくりした。」と、うれしい、うれしい卒業でした。

息子が今、こうして平穏な日々を送れているのは、幼い頃、あの一番苦しかった頃に出会ったつみきの会、藤坂さん、つみきBOOKの導きのおかげです。信じて良かったです。感謝しかありません。
幼い頃、お友達との差がありすぎて参観日にいつも悲しい思いをした頃を思うと、今の様子は奇跡に近いかもしれません。
でも奇跡は起こせるのです。折れ線型自閉症でも回復する可能性があるのです。息子の回復が(完全ではありませんが)少しでも皆さんの希望になる事を心から願っています。

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