療育のコツ・子育てのこつ
第18号 2007.07.12:「セラピストの探し方」
<療育のコツ、子育てのこつ>
今日のテーマ「セラピストの探し方」
ABAはやりたいけど、自分でする自信はない。誰か上手なセラピストが来てくれたら、と思っておられる方は多いと思います。
私も、最初はそうでした。初めてキャサリン・モーリス「わが子よ、声を聞かせて」を読んで、自分たちもやろう、と思ったとき、まず考えたのは、日本にもブリジットのようなセラピストがどこかにいるんじゃないか、そういう人に来てもらって、子どもをよくしてもらえたら...、ということでした。
今となっては、それは半分以上、幻想だった、ということが分かっています。日本では大学でABAを学んで、ホームセラピーの経験もある上手なセラピスト、というのは、まだ非常に希な存在です。大学院で本格的にABAを学んでいる院生ですら、それほどセラピーが上手なわけではありません。日本では、大学院でディスクリートトライアルの実習をするところは少ないからです。
ですから、救世主のような名人セラピストがどこかにいる、と思わない方がいいのですが、それでも、熱心なセラピストが定期的に来てくれれば、親にとって、心強いことは確かです。
ではそういうセラピストはどこで探したらいいのでしょうか。
まずここ数年、東京周辺と、大阪・神戸周辺に限りますが、セラピストを派遣してくれる専門の会社ないし組織がいくつか現れてきました。
関東ならオーティズム・パートナーシップ、関西ならキッズ・パワー、BEC,プロンプトなどです。
オーティズム・パートナーシップ(AP)は非常に高額ですが、カリフォルニアに本拠のある、本格的なABAエージェンシーです。
キッズパワーは、元もとつみきの会でセラピストをされていた江口さんが立ち上げた「国産」のABAエージェンシー第一号です。
BECはアメリカ帰りのセラピスト、上村さんが運営されているエージェンシーです。キッズパワーとBECは、いずれも本拠を神戸に置いています。
プロンプトは、兵庫教育大の井上先生のゼミの卒業生が作っている組織で、関西~岡山のいくつかの地域で、隔週1回程度、大学院卒業生がセラピーに来てくれる、というサービスを提供しています。
こういうエージェンシーの利点は、セラピストが一応の訓練を受けていること、背後に指導者がいるので、プログラムも立案してもらえること、でしょう。
ただ、セラピストの質を一定に保つのは難しいので、どのエージェンシーに頼んでも、やはり当たりはずれは覚悟しなければ行けません。また金額が高いこと、人気があるところほど、ウェイティングリストが長いこと、も欠点と言えるでしょう。
さて、こういう専門エージェンシーを度外視すると、つみきの会の会員さんたちは、様々な方法でセラピストを見つけておられます。
まず、近隣の大学に当たってみる、という方法があります。大学生は、講義やクラブが忙しいのが難点ですが、若くて(大抵は)かしこいので、ABAについて事前に何の知識がなくても、急速に学習して、いいセラピストになってくれることが多いです。
見つけ方は様々です。教育学部があれば、そこの障害児教育担当の先生に相談して、紹介してもらう、という手もあります。直接出かけていって、募集のチラシを貼らせてもらう、という方法もあります。ボランティアサークルを通じて依頼する人もいます。
最近は、個人のアルバイトを大学がなかなか斡旋してくれなくなりましたが、そう言うことをしてくれる大学もありますので、その場合は、「言葉の遅れている子どもの遊び相手募集」とか言って、来てもらうといいと思います。いきなりABAとかセラピスト、という言葉を出すと、まず断られます。
変わったところでは、家庭教師派遣会社に相談して、来てくれた学生家庭教師にABAを勉強してもらった、という人もいます。
次に、手近なところで、家族、親戚、知人に頼む、という手があります。私の知っている例では、お母さんと、ご主人の妹さんがセラピーをされているケース、お母さんと、お母さんの幼なじみの友人がセラピーをしているケース、などがあります。
他には、ヘルパーさんにセラピストをしてもらっているケースを2件知っています。近くに大学がない場合は、現実的な選択かも知れません。
藤坂