ミニマガつみき

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第20号 2007.08.02:「確立操作」

<ABAミニ講座>
今日のテーマ「確立操作」

先月のミニ講座では、結果操作と先行条件操作、というお話をしましたね。結果操作、というのは行動を変えるために行動の後に行う操作で、強化、消去、罰のこと。それに対して先行条件操作は行動の前に行う操作で、その代表的なものは、物理的にその行動が起こりにくくする操作だ、と説明しました。

今日は先行条件操作の一種である、「確立操作(establishing operation, EO)」のお話をします。
確立操作とは、行動の後に与えられる 強化子の効き目を変えるために、行動の前に行う操作のことです。わぁ、ややこしいですね。でも例を挙げれば、「なんだ、そんなことか」とすぐにわかります。

例えば、私たちが強化子によく使うお菓子。これはセラピーの前におやつとしてたくさん食べさせてしまうと、いざセラピーで使おうとしても、効き目が弱くなってしまいます。
そこで、お菓子の効き目を強めるために、いつもはそのお菓子は食べさせなかったり、セラピーの前、1,2時間は何も食べさせずに、おなかをすかせた状態にしたりします。これが「確立操作」です。

おもちゃでも同じことが言えます。 強化子に使うおもちゃをいつも遊び部屋に置いたままにしておくと、子どもはすぐに遊びあきてしまって、いざセラピー、と言うときに効き目が弱くなります。そこで、強化子に使う、とっておきのおもちゃは、その名の通り、セラピーのために取っておいて、いつもは隠しておき、セラピーのときだけ、出すようにします。
こういう工夫をするだけで、セラピーがずいぶんうまくいくようになるものです。試してみて下さい。

今の例は、強化子を事前に与えないことによって効き目を強める確立操作でしたね。これを専門用語で「遮断化」と言いますが、むしろ「取っておき」と覚えちゃいましょう。

次はその逆で、 強化子を事前にたくさん与えることによって、 強化子の効き目を弱めることもできます。これを「飽和化」と言います。
これは問題行動の時に役立ちます。例えば注目を引きたくて、いたずらをする子ども。普段余りかまってもらえないために、余計にそういうことをするのかもしれません。
だとすれば、事前にたくさん注目してあげて、かまってあげるようにします。ただしその子が好きなタイプの注目を与えないと意味がないかもしれません。 例えば、その子がお母さんのびっくりした顔をおもしろいと思っているのなら、隠れん坊などをして、たくさんびっくりした顔を見せてあげます。そうすれば、お母さんのびっくりした顔も見飽きてきて、いたずらをしようと思わなくなるかもしれませんよね。このタイプの確立操作は「大安売り」と覚えましょう。

その他、手の込んだ確立操作としては、「ただ上げ」があります。これはお菓子をわざとちょっと食べさせてみて、もっとほしいな、という気持ちになったときに、 強化子として使う、というものです。
おもちゃでも同じで、例えばシャボン玉を一、二度、吹かせてあげて、もっと吹きたい、と思ったときに 強化子として使います。

<新連載!綾ちゃんニュース>
綾ちゃんというのは、いま小学6年生の私の娘です。2才の時からわが家でABAを行なって、ゼロから言葉を教えました。残念ながら「回復」はしなかったけど、おかげでずいぶんいろんなことができるようになりました。これからこのコーナーで、時々娘の近況を伝えたいと思います。

さて、今日の綾ちゃんのビッグニュース!それは倒立が出来るようになったことです。

ここ明石では、5年と6年は組体操をします。だから昨年も綾ちゃんは組体操に参加したのですが、倒立だけはできませんでした。

今年は出来るようにさせたい!そう思って、妻は夏休み前から、家で時々練習させていました。夏休みに入ってからは、時間があるので、毎日特訓していました。

そうしたら、今日、とうとうできたのです。それまではどうしても足が上まで上がってこなかったのですが、今日はとうとう、真上に近いところまで足が上がるようになりました。妻は大喜び。学校の夏休みの宿題である「夏休み三大ニュース」の一つは、「逆立ちができた」に決まりました。

これからも、「綾ちゃんニュース」をお楽しみに。

藤坂