ミニマガつみき

プログラム紹介

第38号 2007.12.20:「ピアノの教え方」

<プログラム紹介>
今日のテーマ「ピアノの教え方」

ちょうどMLでご質問がありましたので、今日はピアノの教え方をわが家の経験を元にご説明します。

私が娘に楽器を教え始めたのは、幼稚園の年中さんの頃だったと思います。最初は木琴でした。しかしこれはキーボードやおもちゃのピアノでもかまわないと思います。本物のピアノでは最初は少し大きすぎると思います。

1.まず木琴(あるいはキーボードなど)のドレミファソラシドにそれぞれ色違いのシールを貼って、そこに「ド」「レ」「ミ」「ファ」・・・とマジックで書いてやります。文字が読めることが前提です。
このシールはプロンプトですので、子どもがそれぞれの音の位置を覚えるようになったら、少しずつはがしていきます。わが家の場合は、低い方のドとソだけは数ヶ月の間、そのまま貼っておいたように思います。

2.次に最初の曲をバックチェイニングで教えます。例えば「チューリップ」。これを最後の「ミミレレド」の「ド」から教えていくのです。最初はドのところを叩いて見せ、まねして叩いたら(弾いたら)それだけで強化します。それを何度か繰り返し、プロンプトなしでもたたけるようにします。

次に「レレド」と弾けたら強化します。その次は「ミミレレド」です。

このときチェイニングの技術を使います。例えば「レレド」が弾けるようになったとして、次に「ミミレレド」を教えるときは、最初は「ミミレレド」すべてを、大人がバチを叩いてモデルを示すか、あるいは指で指し示すことによって、フルプロンプトします。

次は「ミミレ」までプロンプトします。するとそれまでの練習で「レ」とくれば「レレド」と続くように練習しているので、あとは終わりまでプロンプトなしで弾くことができます。「ミミ」の次に間髪を入れずに「レ」とプロンプトして、行動のチェイン(鎖)を隙間なくつなぐのがこつです。

その後も、大体3音ずつ遡っていきます。「ミミレレド」→「ララソ・ミミレレド」→「ソソミソララソ・ミミレレド」といった感じです。この辺りにじっくり時間をかけます。先を急ぐと、しっかりチェインがつながらないので、いつまで経っても途中で間違えてしまい、いつまでも一曲目が完成しない、ということになります。一曲目に1ヶ月かけるつもりでいて下さい。

3.一曲目が完成したら、二曲目を同じように教えます。やはりなるべく単純な曲がいいです。うちは「ちょうちょ」だったと思います。
二曲目を教えたら、一曲目と混同しないよう、弁別させないと行けません。そうしないと両方のメロディが混ざってしまうのです。「ちょうちょ」だったら「ソミミ」と始まれば、「ファレレ・・・」と最後まで間違えずに続くように、最初は要所要所でプロンプトします。同じく「チューリップ」なら「ドミソ」で始まれば「ドミソソミレドレミレ」と続くように教えます。曲名を覚えさせる必要はなくて、イントロを与えたら、あと間違えずに弾けるようにすればいいのです。

この調子で、ドからド、あるいははみでてせいぜい高いレまでくらいの単純な曲を、5,6曲教えます。「こいのぼり」「とんぼのめがね」「きらきら星」などです。
ここまで木琴で教えていたとすれば、このあたりでキーボードでも弾けるようにします。ただしまだ人差し指一本だけで弾かせます。
最初からキーボードの場合も、ここまでは指一本で教えます。わが家では幼稚園卒業までこの状態でした。

4.次に右手5本の指で弾くことを教えます。わが家では小学一年生になって、授業で鍵盤ハーモニカが始まったので、必要に迫られてようやくこの段階に入りました。

最初はもう一度、ドレミファソの鍵盤にシールを貼ってシールに「ドレミファソ」と書きました。それから親指から小指までの5本の指の爪に、対応する色のシールを小さく切ったものを貼ってやりました。
それによって、親指は「ド」、人差し指は「レ」・・・・というのが子どもにわかりやすくなりました。

次にこれで、最初に教えた簡単な曲をもう一度5本指で教え直します。

例えば「チューリップ」なら、ドからラまでですよね。そのうちラだけは小指で弾くようにプロンプトして、あとは色の指定どおり5本の指で弾かせます。だんだん、指のシールを剥いで、色の手がかりがなくても、親指がド、人差し指がレ・・・という対応を覚えさせていきます。

5.しかしいつまでも5本指が「ドレミファソ」に対応するわけではありません。例えば「ドレミファソラシド」と弾くときは、「ファ」が親指になりますよね。この時の指くぐりがちょっと難所です。「ドレミ」まで弾いたところで、親指に手を添えて、人差し指と中指をくぐらせて、「ファ」を押させます。そのとき、再び親指に例えば赤いシールを貼ってやり、「ド」と「ファ」のところに同じ色のシールを貼ってやると、指くぐりの時の目印になってわかりやすいです。
「ドシラソファミレド」と戻ってくる場合の指またぎも同じ方法で教えます。

あと、鍵盤ハーモニカの場合は、吹きながら弾く、ということを教えなければなりませんが、これはわが家の場合は意外とすんなりわかってくれました。

わが家はこの辺までで、つまり片手演奏で、小学一年を終わりました。

6.一年の時に、5本指演奏が意外とすんなりいき、しかも娘が好きそうだったので、二年のときに近所のヤマハに入れました。「一番優しいベテランの先生を」と指名して、週に1回、ピアノの個人レッスンを受けることにしました。このとき始めてわが家にピアノを購入しました。このときまでは子供用キーボードと、鍵盤ハーモニカを使っていました。

ピアノを始めた頃に、確か楽譜の読み方も教えました。画用紙に大きな5本線を書き、ト音記号を書き、黒い●を画用紙に切り抜いたものを5つほど用意します。
まず5本線の所定の位置に「ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド」と鉛筆で書いていきます。次に●をドの位置に置き、「これは?」と聞いて「ド」と言わせます。
同じように「レ」「ミ」「ファ」・・・などの位置を教えます。

次に●を二、三個使って、「ドレ」「ミソ」「レミレ」などの2,3音の連続を読めるようにします。次は4,5音連続の読みです。

その次に、ピアノテキストの楽譜を読ませます。最初はト音記号の上段だけです。

7.ピアノを始めると、すぐに左手の伴奏が始まります。しかしさすがに最初はとても簡単な伴奏なので、わりとすんなりできるようになりました。そのうちだんだん複雑になってきますが、ピアノの教科書もそのあたりはうまくスモールステップになっています。その通りにやっていくうち、娘は左手のやや複雑な伴奏もこなすようになっていきました。

それからも、四分音符や二分音符の意味や、休符の意味、「フォルテ」「ピアノ」の意味など、教えることはたくさんありました。しかし最初の一、二年は、そんな記号の意味がわからなくても、耳でメロディを覚えさせて、弾かせていました。「フォルテ」や「ピアノ」の強弱を記号を見て引き分けることができるようになったのは、5年生になってからです。

ヤマハに週1回通いましたが、先生が30分のレッスンで娘に教えることができるのはごくわずかなことで、あとは親が宿題を持ち帰り、次までに家で練習させてくる、という方式でした。ですから親が常に付き添いました。

おかげで今では、下手ながらに、ロンドとかワルツ、スケルツォといった曲を弾けるようになってきました。数少ない娘の特技なので、これからも続けていこうと思っています。

以上です。

藤坂