あれこれ
第43号 2008.01.24:「罰であふれた世界から強化でいっぱいの世界へ」
<あれこれ>
今週のテーマ「罰であふれた世界から強化でいっぱいの世界へ」
21 日付朝日新聞(関西版、夕刊)に大阪府柏原市の知的障害者施設での虐待の記事が載っていました。ご覧になった方もいらっしゃると思います。
この施設では職員が恒常的に入所者に以下のような暴力を振るっていたようです。
・遅れがちな入所者を仰向けに倒し、いすの脚を腹部に押しつける
・空腹で落ち着かない入所者の腹部を職員がアッパーカットの要領で殴打する
・かまってもらおうと叩いてきた入所者の背中へ膝蹴りする
・他の入所者を叩いた罰として頬が晴れ上がるほど何度も平手打ちする
・罰として角材を足に挟んで正座させる また以下のような侮辱行為も行なわれていました。
・「○○さん、家に帰られへんねんで」「もう絶交や」などとからかい、入所者が「いや、帰る」「仲良くして」と必死にすがる様子をおもしろがった
最近、このような知的障害者への虐待行為が、入所施設や養護学校などで行なわれている実態がしばしば報道されます。おそらく報道されるのは氷山の一角なのでしょう。
背景には、「言うことを聞かせるには罰するしかない」「甘くすればなめられてしまう」という発想があるようです。これは少なくとも日本社会では、障害者の世界に限ったことではなく、広く健常者の世界(学校、クラブ、会社など)にも蔓延していると思います。
こういう現状に対して、私たちつみきの会ができることはないでしょうか。
私たちがABAから学んだことは、子どもたちは罰によってではなく、強化によってもよい方向に導くことができるし、むしろその方がよいことが多いのだ、と言うことです。
つみきの会は、現在、主として早期家庭療育に取り組んでいますが、私たちの子どもはどんどん大きくなっていきます。
これから私たちは、地域ごとに連絡を取り合って、地域の特殊学級、養護学校、知的障害者施設などにABAの導入を働きかけていきませんか。そしてこれらの閉ざされた社会を、罰であふれた世界から、強化でいっぱいの世界に変えていきませんか。
私たち親は、子どもを預かってもらっている、という負い目から、ついつい、これら学校、施設に対して意見を言わないまま我慢してしまいます。しかし私たちの子どもは、自分では権利を主張することができません。私たち家族しか、彼らの権利を守ってあげる者はいないのです。
そう考えれば、私たちは勇気を出して、学校や施設に対して、もっとうるさく意見を言わなければ行けません。意見を言うだけではなく、実際にちゃんとやっているのか、親が交代で監視するシステムも必要だと思います。親が常に出入りしている施設では、そんなにひどいことはできないのではないでしょうか。
PS.この一週間風邪を引いてしまい、掲載が遅れました。すみません。
藤坂