ミニマガつみき

ロサンジェルス在住の飯島さん執筆

第50号 2008.04.03:
「我が家のABA体験」

ミニマガつみき新シリーズ、会員有志によるリレー連載のスタートです。

昨年度と同じく、基本的に毎週木曜日の発行です。執筆担当者は毎月替わります。1人の担当者に第一週から第四週まで、計4回、執筆して頂きます。
内容は体験談、地域の報告、ABAの話など、様々なものになると思います。 みんな素人なので、そんなにうまい文章が書けるわけではありません。原稿料も0円ですから、つまらなくったって、文句言いっこなしです。

さて、今月はロサンジェルス在住の飯島みゆきさんです。飯島さんはこのつみきの会が発足した初年度(2000年度)に入会され、いままでやめずに残って下さっている12人のうちの1人です。一昨年、私がロサンジェルスに行ったときには、いろいろとお世話になりました。今回、その縁でお願いしたら、幸い、引き受けて下さいました。
では、前ふりはこの辺で。(藤坂)

LA 近郊在住の飯島と申します。 今回リレーエッセイの大役を藤坂さんから仰せつかりました。

私の娘は現在10歳10ヶ月、ABAは8年めになります。

ABA、スピーチセラピー、作業療法、Biomedical Treatment (ダイエットやキレーションなど)と一通りの治療は受けてきましたが 恐らくABAが娘にとって最も効果のあった治療であることは間違いありません。 しかし娘はABA歴は長いですが言語コミュニケーションと社会性に重度の障害が 残る自閉症です。

ABA による効果は認められますが劇的な改善を遂げた成功例ではなく むしろ反省点の多い療育ヒストリーです。
日本の会員の方が興味を持たれるお話しができるかあまり自信はありませんが これから4回どうぞお付き合い下さい。

第1回めは月並みですが我が家のABA体験です。
私は藤坂さんがつみきの会(の前身)を立ち上げた2000年の入会です。 当時ちょうど3歳になった娘の自閉症を確信して(診断は当時住んでいた カナダの病院事情によりもっと先になるのですが)日本語のABA情報を ネット上で探していた時、ある親御さんが運営していた療育サイトの掲示板で ABA の親の会立ち上げを呼びかけていた藤坂さんから会に誘って頂いたのが きっかけです。

この時藤坂さんにめぐりあえたのは幸運でした。
当時のカナダ(バンクーバー)には公費でABAを受けられるサービスが まだなく、自費でNYC、CA、シアトルなどにあるABAエージェンシーからスーパーバイザーを 呼び自分たちでセラピストを雇いABAプログラムを運営した親たちがその費用の償還を求めて 州政府に裁判を起こしているような状況でした。

娘の自閉症がわかった時点で私たちもエージェンシーと契約しABAプログラムを始めるべき だったのですが(そしてそうしなかったことを今でもとても後悔しているのですが) 当時の私たちには専門家の指導のもとABAを行う環境も余裕もありませんでした。

そこで自分たちでABAプログラムを始めることにしたのが娘が3歳3ヶ月の時です。

娘は2歳7ヶ月で一旦すべての言語を失ったいわゆる折れ線型の自閉症で ABA を始めた当時無発語、言語理解ゼロ、模倣能力ゼロの状態で 当時のspeech pathologist のアセスメントによると 受容表出言語ともに生後3ヶ月レベルとの結果がでていました。

セラピーは夫と分担して約週25時間、藤坂さんから送って頂いた ABA のすすめ方の資料と”Me Book”、キャサリンモーリスの “Behavioral Intervention for Young Children With Autism”をもとに プログラムをスタートしました。

当時のことはよく覚えていないのですが とにかく私の娘は何かを習得するのに非常に時間のかかる いわゆる重度児で単純動作を真似て強化子がもらえるというコンセプトを理解するまでに 約3週間、単音模倣の意味-こちらが単音を発して娘が真似すると いう概念を理解するのにさらに約1ヶ月かかった記憶があります。 こういったスローな成長、しかし考えてみるとこの8年間で 娘にとっては最も成長を遂げたセラピーが約1年半続きました。

(続く)