ロサンジェルス在住の飯島さん執筆
第51号 2008.04.10:
「FAPE-Free appropreate pub…
ロスの飯島さんからのレポート続編です。
どうやらカリフォルニアもパラダイスではないようです。
藤坂
第2回 FAPE-Free appropreate public education 適切な公教育は本当にFreeか?
2002 年娘が4歳8ヶ月の時アメリカ・カリフォルニア州に転居しました。
それ以降こちらの特殊教育サービスのお世話になっています。
エージェンシーによるABAプログラムがスタートしたのもこの時でそれから6年、 事情によりエージェンシーは3つめとなりますが現在も学校区負担のABAサービスを受けています。
近年学校区は教育費予算カットのためこのサービスを出したがらない傾向にあります。
学校区はエージェンシーによるin-home ABA(家でのABAプログラム)サービスや ABA セラピストのシャドー付き添いで学校に通うエイドのサービス (これもABAサービスになります)についてこういうサービスがあると 保護者に教えてくれることはまずありません。
また保護者がABAをリクエストした場合希望通りそのサービスの 提供について学校区がIEPミーティングの場で合意することもほとんどないようです。
特に義務教育(5歳)を過ぎた学齢期の子供の場合は顕著で ABA プログラムが簡単に提供されるサービスではないといえます。
ではこのサービスを受けるためにどういう手続きが必要かというと よい点(といえるかどうかわかりませんが)として IEP ミーティングで決裂した場合の調停の方法や手続きが一応整っているということです。
保護者はDue process Hearing(調停・公聴会)-学校区に対して調停、公聴会の手続きを取ります。この手続きに入る時に弁護士が必要になり多額の費用がかかります。 弁護士費用の一部をこの調停中に学校区から償還させることもできますがそれは交渉次第です。 このDue Process の手続きにまで進んで始めて学校区がABAサービスを提供するケースが 少なくありません。
この国は障害児教育法(IDEA – Individuals with Disabilities Education Act )をもとに Free appropreate public education(FAPE)無料で適切な公教育の権利が 定められています。しかし、学校区負担によるABAを受けるためには親が調停・公聴会や 裁判にいく費用、もしくは自費でABAを始めてそれを学校区に償還要求していくための費用が 必要だったりするケースが多いのです。
“無料で適切な公教育”にいきつくまでに多額の費用が かかり全く無料で受ける公教育という印象はすでにありません。
ちなみに私の娘のケースでこのABAサービスを獲得・維持するために調停・公聴会の手続きをしたことは幸運にもまだありません。(実際維持するために公聴会に行かなければならない状況になっても多額の弁護士費用を負担する余裕は私たちにはないと思います。)
すでに早期療育の年齢をとっくにすぎたうちの娘がなぜABAサービスを受けられているかというと一旦提供されたサービスをカットするのは学校区には難しいことであり 学校区はこの子供にこのサービスはもう必要ないと証明する必要があります。
一方的にサービスカットして公聴会に持ち込まれた場合(親が学校区を訴えた場合) それにかかる学校区側の弁護士費用とそのサービスを提供した場合にかかる費用 のどちらが安いか学校区は常に天秤にかけています。
もはやうちの娘にそのサービスが必要かどうかではなく提供したほうがコスト的に安いと 今年も判断したためでしょう。 このサービスがあることは非常に有難いことですが将来的にはこの州のABAサービスは どうなるのか非常に不安な思いです。
(続く)