名古屋在住の片桐さん執筆
第66号 2008.08.07:「今までで嬉しかった事 ① 言葉が出た!」
皆様、毎日暑いですが、暑さに負けず、お子さんに負けず、家族に負けず、自分に負けずにセラピーに励んでおられるでしょうか。え? 全部に負けてるって? そんな弱気にならずに頑張って下さい。
さて、ミニマガリレー連載、8月担当は名古屋の片桐さんです。片桐さんとは長い付き合いですが、お子さんが2才の時からABAに取り組まれ、今年、お子さんが小学校に入学されました。いまも小学校普通クラスにお母さんが付き添ってシャドーをされています。
その片桐さんに、「ABAを始めてからこれまでの間で、うれしかったことを4つ選んで、それについて書いて下さい」とお願いしました。
今日はその第一回です。お楽しみに。
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<今までで嬉しかった事 ① 言葉が出た!>
息子は、今年、小学1年生になりました。
毎朝、5歳上の姉(小6)と一緒に、手をつないで登校しています。
その後ろに付いて歩く私。
息子が産まれた時「5歳違いだから、小学校の1年間は、一緒に通うんだ・・・」 と思った姿が、今、目の前にあると思うと、とても感慨深く思います。
入会したのは、息子が2歳8ヶ月(平成16年10月)の時でした。
入会時の目標は「言葉の獲得」
当時週1回通っていた療育センターや、いろいろな所で、言葉の引き出し方を訪ねましたが、決まって言われるのは 「そんなに焦らないで。いつかきっと出ますから、待ちましょう。普通の子育てをすればいいんです。」
・・・してきたんですけど・・普通の子育て・・・待ってたんですけど・・・今までずっと・・・
いつか出るっていつ出るの?いつですか?
なんで待ってなくちゃいけないの?
なんで教えてやってはいけないの?
待望の弟と初対面した時、娘は「おねえちゃんってよんでほしい・・・」と、言いました。
その時を、今か今かと待っている娘の為に、「おねえちゃん」って言えるようにしてやりたかった。
息子は、おとなしく、こだわりも強くなく、何に対しても興味が薄く、そして、全くと言っていいくらい、発語(発音)がない子でした。
息子は、どんな声をしているんだろう。
「声を出している姿」が、全く想像できませんでした。
当時見た夢で、強烈に覚えているのは、
・・ふと気が付くと、息子が喋ってる!やったぁぁ!・・・で、目が覚める。やっぱり夢か・・・ ・・
ふと気が付くと、息子が喋ってる!待てよ、この間は夢だったからきっと夢・・・目覚める。
喋ってる!やったぁぁ!・・・で、本当に目覚める。
11 月から、自宅でのレッスンを始めましたが、なにせ、何にも出来ない。 マッチングは、比較的スムーズに進みましたが、動作模倣は1つ出来て、2つめを教えると1つめを忘れる・・の繰り返し。
やっと3つ出来た!と思って、4つ、5つと教えていて、ふと気付くと前の3つを忘れてる・・・
焦って、出来ない息子に当たり、ガンガンやらせた結果、椅子に座ることさえ拒否するようになってしましました。
早く音声模倣をやりたくて焦り、ランダムローテーションで確認する事や、復習を怠った為です。
いま、初期課題に取り組んでいらっしゃる方、復習はとても大事です。 怠ると、今まで積み上げてきた、何ヶ月もの努力が、水の泡になりますから。
私も何度泣いたことか。 「音声模倣の課題を始める前に、最低、物の名前50個、動作模倣30個、音声指示10個」と、アドバイスを受けていたので、
当時年少でしたが、保育園には火・木の午前中のみ通い、後の時間はレッスンに当てていました。
とにかく音声指示の進みが遅かったので、やっと音声模倣の課題にたどり着いたのは、翌年の8月。
はじめは、つみきBOOK 9・音声模倣 (1)全ての発声を強化する から、始めました。
TV を見ている時など、時々「ふぅえぇ~い」というような音が出るときを狙って、口にお菓子を放り込む。
レッスン以外でお菓子がもらえるなんて!!と思ったのかもしえれませんが、物の見事に反応し、 すぐに「ふぅ」「ほぅ」の様な、不確かな音を出すようになりました。
次は、椅子に座らせ、お菓子を見せて・・・音が出ても、笑ってもあげているうちに お菓子を見せる前に「ほぅ」、もらうとすぐにまた「ほぅ」のような声を出すようになりました。
試しに「あ」といってやると、その日のうちに「あ」がでました。
翌日には「ん」 なぜか、私がベーっと舌を出すと「あばばば」と言うようになり、後「ばばば」の模倣になりました。
50 音表を作り、とにかく、音のレパートリーを増やしたかったので、はっきりした声ではなく 息だけの音 はー、へー、ひーも、やりました。
そして、音声模倣と平行して、鏡を使った口形模倣もしました。 鏡を見る事で、自分の口元を見る事が出来ますし、意識して形を作る事が出来ます。
やりたくてやりたくてたからなかった課題なので、やり始めたときは、とにかく嬉しかったです。
やっとここまで来た!やったるどぉ~!!
しかし、元々発音がない子なので、 「あ」 「ん」 「ばばば」 「え」 「(息だけ)はー」 「は」 ・・・ここまでに1ヶ月。
10 音出すのに3ヶ月。「び」がいえたと思ったら「ぶ」が消える・・・
6 ヶ月が経った頃、新しい音が全く出来ない時期が続きました。 もう限界かも。これ以上は無理かも。
そう思う日が続いた時、入会する時に決心した事を思い出しました。娘の気持ちを考えました。
諦めなくて、本当に良かったと、心から思います。
心を入れ替えてから、面白いように単語が増え、要求語「きて」「やって」「あけて」「やめて」「お茶ちょうだい」や、 単音が増えたおかげで、物の名前も言えるようになりました。
今、字が読めるようになり、字幕を読みながら大きな声で歌っている息子。 「おねえちゃん、書いて」と言って、お絵かき道具を持っていく息子。
会話ができる・・・とまではいきませんが、姉弟で「犬書いて!ドラえもん書いて!」と言いながら、楽しそうに遊んでいます。
先日娘が言いました。
「おかあさん、たいちゃん、もしかしたら音痴かも・・・」 ・・・そうかもね^^
(つづく)