プログラム紹介
第7号 2007.04.19:「動作模倣あれこれ」
<プログラム紹介>
今日のテーマ「動作模倣あれこれ」
動作模倣は、なかなか奥の深い課題で、バリエーションも多岐にわたります。 「つみきBOOK」の記述と重なる部分が多いですが、現時点で思いつくものを書いてみます。
身振りの動作模倣
一番単純なもの。「こうして」と言いながら、手を上げたり、拍手したり、と言った、物を使わない単純な動作を模倣させる。
物を使った動作模倣
身振りの動作模倣より、しばしば取っつきやすい。コップを持たせて、「こうして」といって飲むまねをさせたり、つみきをおわんに入れて見せて、まねさせたり。大人の動作をまねさせるために、同じ物を二つ用意する。
立ってする動作の模倣
座ってする動作だけだと、だんだんレパートリーが尽きてくる。そこで立った状態で、足を上げたり、ジャンプしたり、回ったり、といった動作をまねさせる。じっとしていられないときは、子どもの両側に大きな机を置いてガードする。
物に関する複数の動作の模倣
同じ物について、複数の動作をまねさせる。例えばテーブルにコップを二つ置いて、大人がコップで飲むまねをしたら、それを自分のコップでまねをし、大人がコップを倒したら、倒せるようにする。
指の動作模倣
親指を立てる、人差し指を立てる。小指を立てる。鉄砲の形、OKサインなど。
口形模倣
音声模倣のプロンプト手段として役立つ。 対面でうまく行かないときは、鏡を使う。大きな鏡の前に子どもを座らせ、自分はそのやや後ろに座る。最初は手を上げるなどの大きな動作をしてみせ、子どもに、鏡に映ったあなたの姿をまねして、自分も同じ動作をすることを教える。
子どもが鏡の中のあなたに注目していることが分かったら、徐々に動作を顔の辺りのものに絞っていき、最後にいろんな口の動きをして見せて、それを見せてまねさせる。
その他顔周りの模倣
目をつむる、目を大きく開ける、眉をひそめる、笑う、微笑む、悲しい顔、怒ってる顔 連続動作の模倣(手遊び歌) 「あたま、かた、ひざ、ポン」など簡単な歌から。最初のうちは一つ一つの動作を子どもがまねしてから、次に行く。つまり細切れの、身振りの模倣をつなげたようなものとして。 上手になったら、徐々に流れるような連続動作に持っていく 遅延動作模倣 大人の動作を、時間を置いてまねすることを教える。観察学習(人のやっていることを見て、新しいことを学ぶ)の基礎として重要。手を押さえていて、動作を少し遅らせる方法、テーブルの上の物を一つだけにして、大人がそれを使ってある動作をしてから、子どもに渡す方法、離れたところに物を置き、大人がまずその物のところに行ってそれを使ってある動作をしてから帰ってきて、子どもに同じことをさせる方法などがある。
二段階動作模倣
「こうして、こう」と言いながら、二つの動作をしてみせて、それからそれをまねさせる。最初は同時並行的にさせるが、やがて手を押さえておいて、二つめの動作が終わってから手を離す。遅延動作模倣+連続動作模倣というわけ。
自発的動作模倣
「こうして」などと言われなくても、他人の動作を自発的にまねできるようにする。最初は向かい合って、だまって手を上げるなどして、模倣を促す。大いにほめることで、やがては他人による強化がなくても、他の大人や子どもを模倣すること自体が楽しくなることを目指す。
動作の維持
1~10秒程度、一つの動作を維持することを教える。例えば「こうして」と言いながら頭にさわって見せたら、大人が頭から手を離すまで、子どもも手を離さないようにさせる。
同時二動作
例えば手を横に広げながら、足を上げる。拍手しながら足踏みする。手をひらひらさせながら、ひざを屈伸する、など。3、4才以降の課題。
般化
これまでやったことのない動作をして見せて、それをまねできることを確かめる(反応の般化)
いつもセラピーをやっている大人だけではなく、幼稚園の先生や、近所のお友だちなど、いろんな人の動作を自発的にまねできるようにする(人の般化)
以上です。
藤坂