えっくんレポート
第9回 自閉症と診断されて、親たちは・・・
自閉症と診断されて、親たちは・・・
自閉症と診断される前、どこかおかしい、なぜ集団に入れない?
言葉が遅いなど、なんだかの異変に気づくものの、
診断後はやっぱり違うのではないの?
または診断の時に、「様子を見ましょう」
「たぶん大丈夫ですよ」というような言葉を期待しながら診断を受ける。
そして、自閉的傾向または自閉症ですと言われて、
「自閉症って何ですか?」または
「治りますか?」と聞く親が大半ではないでしょうか?
その答えには、自閉症は治りませんと言われて、あせり、どうにかして
良くしなくてはと、本屋に駆け込み、
ネットで検索を始める人が多いでしょう。
そのとき、親は将来の夢のすべてを打ち砕かれ、結婚は無理?恋愛もだめ?
車にも乗れない?学校は特別学級?養護学校?
友達はできない?一生話をすることは無理?じゃあ、ママって呼んでもらえない?
パパは野球やサッカーを一緒にするのを夢見ていたのにそれも無理????
こうして、たくさんの希望や期待が一気に消され、じゃあ何をすればいいの?
という孤独で過酷な気持ちを味わいます。
そして子どもはまだ2歳や3歳という一番かわいい盛りなのです。
親はいても、立ってもいられない気持ちになります。
何かしなくては、でも何をしたらいいのだろう。
ある親は、専門書を読みあさり、寝ないでネットに向かい、
世界中からありとあらゆる情報をかき集め、
どうしたら、愛する我が子が良くなるか、勉強を始めるでしょう。
ある親は、毎日泣き、絶対に認めることをしたがらないでしょう。
ある親は、自分の育て方が悪かったのかと自分を責め、なぜ自閉症になったのか
こころ当たるありとあらゆる原因をさぐり、ときには相手方を責めて
しまうこともあるでしょう。
ある親は、毎日繰り返す癇癪で、疲れきって、
暴力に発展することもあるでしょう。
ある親は、診断後、自分の子が可愛くなくなってしまうときがあるでしょう。
ある親は、一緒に死んでしまおうか?
生きている意味はない、と考えてしまうでしょう。
こうして、親はこんなにも世の中で一番の不幸を背負う羽目になったかのような
気持ちになります。
人はかわいそう、気の毒だと思うでしょう。
こんなとき、もしもこんなとき、私達親のためではなく、子どものための
療育のシステムが整っていて、
早期療育がすぐに受けられる体制が国にあったら
私達親はどんなに救われるでしょう。
私はいろんなところに相談にいきました。
きっとみなさんもどこに行けばいいのかも
わからず、それでも、ここがいいのではと言われれば、
そこに足を運ばざるをえない気持ちにもなったでしょう。
私の場合、そのような場所では必ず、と言ってよいほど、
早期療育の大切さを耳にしました。
ではその早期療育はどこで受けられるのでしょうか?
その答えは、早期療育というよりは、同じ程度の子どもたちを集めて
行われているプレイセラピーのようなものが大半で、結局は親の私どもが自分達で
療育をするという結果になりました。
悩んで、苦しんで、挙句の果てには親が療育する。
でも、利点もありました。我が子と一生を共にするのは
私達家族であること、毎日を一緒にすごしているので子どもの特徴などは
親が一番理解していること。
ただ療育に取り組んでみると決して楽ではなく、難しい子どもと向き合って
一つ一つ何かを教えていくのはとても大変なことでありました。
軌道に乗り、自分で教材などを作り、やっと子どもの反応が見られ
手ごたえを感じたのは、時間がかなり必要でした。
そんなとき、親の負担を少しでも除いてくれるセラピストさんが
もしいたら、私達はどんなに助かるでしょう。
毎日、長時間とは言わなくても、週に3回、4回2時間か3時間でも
家庭訪問をして、子どもとかかわってくれたら、どんなに私達は
助かるでしょう。
子育てをする、家事をする、普通の生活でもやらなくてはならないことが
いっぱいなのに、子どもの療育にサポートがなければ、どんなに大変か
アメリカと日本の療育の差を経験して
たくさんの違いを見てきましたが、アメリカに住んでいても
日本人である私は、やはり日本のシステムが整ってほしい、
親がすべての負担を背負わなくてもよいシステムが
早くできてほしいと願っています。