体験記・会員の声

アメリカ療育事情

IEP会議って??

-アメリカのIEP会議って???-

みなさんももうすでにご存知のようにIEP(個別指導計画)会議

こちらアメリカでは最低年に一度は開かれます。

これは子どもが年間を通じて、どのように学ぶかを親と先生やその子どもにかかわる

関係者達と話合い決めていくものです。えっくんのIEPに参加してくださるメンバー

担任の先生、学校区からのAutismスペシャリスト、言語の先生、OTの先生

PEの先生、そして、えっくんが通常だったら行く年齢のクラスの先生(1年生だったら

普通級の1年生を受け持つ先生)、ホームプログラム担当のスーパーバイザー、

リージョナルセンター(国)からエジュケーショナルコンサルタント、(親がつまずいたときなど

代わりに代弁してくれたりする、強力な助っ人です)プライベートのスピーチの先生、

そして、私たち、が参加して、計画を立てます。

このIEPは法的な書類であります。

したがって、IEPで書かれたことは確実に実行しなければなりません。

ですので、中にはIEPに弁護士などを連れてくる場合もあるのです。

学校側が、あれもしています、これもしていますと言葉で言っても

IEPに書かれていないと、しなくてもいい事と同じになります。

そのため、親としては、事細かいことをIEPに書きみ、チームの同意を

求めることが必要になってきます。

療育が進んでいると言われているアメリカでも

地域によってはずいぶんとIEPの方向性も違ってくると思われます。

ですので、一概にはこれがいいとはいえないのですが

昨年からの息子のIEPをご紹介したいと思います。

-えっくんのIEP-

えっくんのIEPは毎年5月に開かれます。これはAnnual Goalといって

総合年間の計画のIEPです。

PEP-Rテストを学校でして、その評価のもとに計画書を作成します。

まず、IEP会議の前に私たち親は学校に息子がどのように年間を通じて学んで欲しいかの

設定を書き上げます。(私たちの場合です)

私はいつもBehavioral Intervention for Young Children with Autismという

わが子よ声を聞かせてでもおなじみのキャサリンモーリスさんが書かれた

書物を参考に、計画を立てます。

そしてそれを学校に提出します。

すると先生は私たちの親が希望する方向も考慮にいれながら、年間の計画を作ってくれます。

それを今度はIEPでどの方向でそのプログラムを立てるかを先生、学校区のAutism Specialist

学校の言語の先生、OTの先生、ホームプログラムのスーパーバイザー、ときにはプライベートの言語療法士の先生、国からのエジュケーショナルコンサルタント(親が希望した場合)そして私たち親とで話し合いながら、計画をたてます。

この計画はとてもこまかく数値で表されます。(以下参照)

IEPをみただけでは実際のプログラムを教室でどのようにしているのかはわかりません。

IEPを元に先生がその子にあった方法を検討し、教材などの作成をし

データをとって行きます。

このデータを親も管理することはとても重要で、データの表れによっては

IEPをまた再度開き、プログラムの変更をしたり、しなければなりません。

今年度もすでにIEPを開き、息子のプログラムの建て直しなどをしました。

あと2回のIEPを行う予定でいます。

えっくんのIEPの中の1ページです。

必要科目受容の名づけ 
年間目標
5月5日05年までにえっくんは受容の名づけ、8つの物を自然な環境設定の中でサ
イン言語の補助により先生とそのスタッフの記録に基づき80%正確に出来る様にする。
評価進行状態 
 
短期の目標
11月04年までに、えっくんは受容の名づけ、3つの物を自然な環境設定の中でサ
イン言語の補助により先生とそのスタッフの記録に基づき80%正確に出来る様にする。
  
 
短期の目標
03月05年までにえっくんは受容の名づけ、6つの物を自然な環境設定の中でサ
イン言語の補助により先生とそのスタッフの記録に基づき80%正確に出来る様にする。
 

えっくんはPEP-Rテストの結果でも受容の名づけがとても不得意です。

何年も何百回も試行をつづけてもランダムローテーションになると

混乱します。

いわいる、キャパシティが1しかないのです。

バナナを教えます。すると何十枚のカードのなかからバナナを選択することができます。

ここまではいいのです。しかし・・・・

りんごを教えると、また同じくりんごを何十枚のカードの中から取ることができます。

しかし、この覚えた2つをまぜてしまうと混乱します。

そのため、このIEPのたった一ページの項目にすごい時間をかけて

どのようにしたら学べるか、壁をクリアできるかを話しあいます。

強化子は学校ではどうするか、家ではどうするか、言語の時間ではどうするか、

SDの出し方はどうするか、すべて統一したほうがいいなど・・・

彼の回答はどこまでが正しく、どこからが不正解か、

SDを出したとき、目線を合わせないようにする。

などいろいろと話合います。

今回のIEPでは正解した場合、デスクから即離れ、般化した状態でも

試行をするということにしてみました。

しかし、それでもなかなかむずかしいようですがデスクで学ばなくても

どうやら実用性のあるものはできてきているようです。

たとえば、そこのごみを拾ってゴミ箱にすてて・・・というような

ことはできるのです。

また、靴下と靴を履きなさいと言うとできるのです。

しかし、デスクで靴下ちょうだいとなるとなかなか難しいので

デスクでのトライアルはあまりしないようにしました。

IEPの中に自然環境の設定とあるのはそのためです。

このようなページが20数ページにもわたってあります。

その項目はこちらです。  

1.書く(自分の名前を書く訓練) OTの時間

2.切る (2かくの線を切る) OTの時間

3. 感覚統合(感覚統合によってどのくらい落ち着いて座ること
       または活動に参加できるかを図る。)OTの時間

4. コミュニケーション 5つのサイン言語、またはジェスチャーを用いてのコミュニケーション

5. 連続動作 6つの機能的な動作を視覚やスケジュールなどを用いて、の訓練

6.シンボリックプレイ 4つのシンボリックプレイ(象徴的なあそび)

7. スケジュール スケジュールボードのアイコンを白黒に表示する。

8. 自主的な活動 6タスクを自主的にこなす。

9.読む 8つの絵と文字のマッチング

10.コミュニケーション 7種類の色をサイン言語、PECS、などで表す。

11.プリアカデミック 6箇所の身体の名前の理解

12.プリアカデミック 受容の6種の色の名前

13.表出言語 10の表出言語を般化させる 言語療法の時間

14.受容言語 10の受容言語(動作)○○見せてという指示で行う。言語療法の時間

15.口の運動 口の動きの訓練

16.発音の訓練 b.p.m.n.ng.w.d.t.k.g.h のサウンド

17.種類 PECSを用いて種類を表す。

18.家族構成 PECSを用いて家族の名前を理解する。

19.要求 PECSを用いて、要求を増やす。

20.動作 PECSを用いて動作を表現する。

21. Yes,No の質問 PECS を用いる

まだ他にも体育の時間などの項目があるのですが、このように細かく表示され

さらに数値と期間をあらわしています。

そしてこれではどのように試行をするかはIEPの書類だけではわかりません。

これを元に先生は生徒にそって、プログラムを立てます。

-親の希望の導入-

また、親の希望などを導入していく場合は

やはりIEPの最後にチームミーティングノートという用紙にひとつひとつ記載されます。

これをチームが同意をするか、そうでないかで実行されるものそうでないものがでてきます。

今回私たちが学校に要求したことは、PECSをフルに活用して、

もっと質の高いコミュニケーションを図ること、

それにはチーム全体がプロフェッショナルからトレーニングを受けること。

学校でとっているデータを毎日家に持って帰ってくること。

スピーチセラピーをプライベートのスピーチセラピーと協力して行うこと。

休み時間に一人でいることがないこと

どこにいくにもPECSブックをもっていくこと

などをこちらからお願いいたしました。

IEPは毎回、話しがもつれたりして難しいのですが、

学校にしろ親にしろ、そしてプライベートで行っている言語療法などもすべて、

同じような目的で協力しあう体制があります。

その部分はとてもよいことだと思っています。

-アセスメント-

また、IEPで大切なのはアセスメントです。

えっくんが使っているPECSなどや子どもの問題行動など必要性のあるもは

アセスメントを学校に希望します。

希望したアセスメントは学校側が却下する場合もありますが

子どもに必要があれば、アセスメントを行い、現在の時点ではどのレベルにいて

将来的にどこまで伸びるかの評価をしてもらいその結果をもとに

IEPを開き、プログラムを導入するということもします。

こちらでは様々なサービスが存在しますが、それをどのようにして親が我が子の為に

獲得するかが一番大変なところです。

現在えっくんはアッセッシブテクノロジーというアセスメントをしております。

PECSを含め、パソコンやタイプライターなどいろいろなディバイスの必要性や

彼のレベルをはかるものです。

また結果がでたらお伝えしたいと思います。